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マネキュア塗りながら、ぐりぐり書いてたら、おかしなことになった。
でもまあ、一応あげて、逃走します。
サイトに再掲載するときには、大幅に修正したいと思いますが、今はこのままで。書きたいことを編集なしで、のっけて置きます。
とある所に聡明で美しい、誰からも好かれる女性がいました。
その女性は神様からも愛され、そして彼女も神様を愛してました。…目の前に彼が現れるまで。
「ア、アレン…君…?」
コムイが驚きで目を見張った。なぜこの子が知っているのだろうかと。
もしかするとすべて知っているのではないかと。マリアが処刑されてしまった、理由を。
「彼、って?」
「その女性が恋をして、愛し合った相手ですよ」
ラビが続きを促して、アレンが答えた。
神に仕える身でありながら、彼女は彼を愛してしまったんです。そして彼もまた、神に弓引く身でありながら彼女を愛してしまったのです。
二人は、隠れて逢瀬を重ねました。
「誰にも知られず。そんなことが可能か?この教団内で」
神田の間正直な問いに、アレンはクスリと微笑んだ。
「フフ、神田。誰も教団の話だなんて言ってませんよ。けれど、そうですね…」
彼には、彼の考えを後押ししてくれる、複数の協力者がいましたし、彼女には、直接の上司たる人が後押ししてくれてました。
その人も、彼女が好きでしたが、彼女の幸せを一番に願ったのです。
「…恋愛の『好き』じゃなかったさ?」
そうでもなければ、前から好きな女性を目の前で掻っ攫われて、それを後押しするなんて、オレじゃあ無理さ。絶対最後まで張り合ってしまうさ。
「男女の仲は『好きと嫌い』の2つだけで纏められるもんじゃねーだろ」
「そうですね。僕は直接彼から聞いていませんので、本心は分かりませんけど」
幸せそうに笑う彼女を、守りたかったのかもしれません。その人にはその力があった。彼にしかなかった。
「クロス……」
組んだ両手を額に押し付けたコムイが、小さく呟いた。
そして、当然二人の愛は、一つの結末を生みます。それは神様の寵愛か、はたまたアクマの微笑みか。その女性は彼との子供を身籠りました。
悩んだ末に彼女は、子供を産みました。
「馬鹿な!そんな事実は…」
コムイが、ガタンと座っていた椅子を蹴倒して立ち上がった。そしてアレンを凝視する。
しかしアレンは表情一つ変えず、逆にコムイに微笑んで見せた。
「あの人は、家1年に一回戻るか戻らない人でした。僕の知ってる方は4年間音信不通だと聞きましたが」
「すまないアレン君。君に言っても仕方なかった」
大きく息を吐き出して、コムイが冷静さを取り戻すとアレンに謝り、椅子を起こして座り直した。そして続けてくれと、促した。
「…アレン?」
けれどアレンは、どこか遠くを見ているようで、すぐには続きを語らなかった。あまりに心ここにあらずなので、ラビがそっと声を掛けた。
そうすれば、夢から覚めたみたいにアレンは瞬きを繰り返して、ボーっとしてましたと笑った。
「無理に言いたくねーのなら、言わなくてもいいが」
「いいえ、ここまで来たら話さないといけないでしょう…ラビだって知りたいですよね」
気遣う神田に、アレンが断り、ラビはそれに応えて首を縦に振った。
「彼女は、家を離れ、産婆経験のある方の家で、男の子を出産しました」
戻らなければいけない彼女と、子供を育てる環境ではなかった彼は、その赤ん坊を一度抱き締めただけで、手放さなければいけませんでした。
赤ん坊は、彼女の眼の色と、彼の髪の色を持って生まれたので、彼女が育てることも、できなくはなかったのですが。
神様は、そんな彼女の些細な、願いさえかなえてはくれ無かったのです。
「いいえ、逆にその赤ん坊は神様に愛されたのかも知れません。その代わり、両親の愛情を得ることができなかった」
その子は、神の結晶と呼ばれる物をその身に宿して生まれてきてしまったからです。
「……っ」
3人が3人とも息を呑み、アレンを見つめた。
アレンは両眉をハの字に下げて、微笑んだ。泣きたいのに泣き方を知らない、そんな表情だった。
「その事を、生まれてきた赤ん坊を見て、知った父親たる彼は…」
いつの日か、自分の家族の元にも来るだろう未来を知り、その赤ん坊に自分の願いも託したのでした。
その直後に、人間と通じていたことを知られた彼は、殺されてしまいました。でも、彼女は数年間元の家に戻り、何事もなく暮らしていたのです。
「なんで、教団にばれたんさ?」
「分かりません」
アレンは首を横に振った。
ただ彼女は、どうしても子供に会いたかった。それで無茶をしたようです。それに疑って歩くのが仕事のような方もいらっしゃいますから。
「…それで、異端審問か、はんっ。奴らのやりそうなことだ」
唾棄するように言い捨てて、神田がギュッとアレンの左手を握った。その反対、アレンの右手を取ったラビは、そのまま持ち上げて口づけた。
「アレンが、生まれてきたことを感謝するさ」
「「 コムイ 」」
アレンの手を取ったままの二人が、コムイをヒタと見つめる。コムイも分かっているというように、真剣に3人を見つめ返した。
「何の証拠も無いよ、それにそれは、誰かの昔話であって、誰の昔話じゃない」
だから二人とも、その物騒なものは仕舞ってくれるかな。コムイは、各々イノセンスに手を掛けている、神田とラビにお願いした。まあ、いざとなったらアレンが止めてくれるだろうけど、精神的ダメージも減らしたい。
「でも、アレン君。あと一つだけ。知ってたらでいいんだけどね、教えて欲しいんだ」
「はい」
静かにコムイを見つめ返す、その瞳は確かに自分が好きだった彼女のもの。どうして今まで思い出せなかったのかとコムイは自嘲した。
「彼の『14番目』の願いって何かな?」
すっかり情報源を聞かれると思っていたアレンは、困惑して瞬きを繰り返した。
そして言うかどうかを迷って、浅い呼吸を繰り返した。
「ああ、言葉が悪かったね。その…彼女の恋人の願いは何かな?参考までに聴きたいだけなんだけど」
何処にも他言しないことを、暗に匂わせて、コムイが得意の笑顔をアレンに向けた。
「『ノア』からの解放」
そして、決別。
それだけ言うとアレンは立ち上がった。マリアの写真をコムイへと返すと、踵を返した。
コムイもそれを引き留めようとはしない。
アレンが神田とラビを連れて、室長室から出て行こうとする、瞬間に振り返った。
「誰かではない、『とある誰かの昔の話』です。あまり楽しい物語ではなかったですね」
*************************
脱兎。情報源はその内、いろんなうちのSSから出てくると思います。再掲載する頃には、情報源とかの話も、盛り込めたらと思います。そのうち書き直したりするかも。
でもまあ、一応あげて、逃走します。
サイトに再掲載するときには、大幅に修正したいと思いますが、今はこのままで。書きたいことを編集なしで、のっけて置きます。
とある所に聡明で美しい、誰からも好かれる女性がいました。
その女性は神様からも愛され、そして彼女も神様を愛してました。…目の前に彼が現れるまで。
「ア、アレン…君…?」
コムイが驚きで目を見張った。なぜこの子が知っているのだろうかと。
もしかするとすべて知っているのではないかと。マリアが処刑されてしまった、理由を。
「彼、って?」
「その女性が恋をして、愛し合った相手ですよ」
ラビが続きを促して、アレンが答えた。
神に仕える身でありながら、彼女は彼を愛してしまったんです。そして彼もまた、神に弓引く身でありながら彼女を愛してしまったのです。
二人は、隠れて逢瀬を重ねました。
「誰にも知られず。そんなことが可能か?この教団内で」
神田の間正直な問いに、アレンはクスリと微笑んだ。
「フフ、神田。誰も教団の話だなんて言ってませんよ。けれど、そうですね…」
彼には、彼の考えを後押ししてくれる、複数の協力者がいましたし、彼女には、直接の上司たる人が後押ししてくれてました。
その人も、彼女が好きでしたが、彼女の幸せを一番に願ったのです。
「…恋愛の『好き』じゃなかったさ?」
そうでもなければ、前から好きな女性を目の前で掻っ攫われて、それを後押しするなんて、オレじゃあ無理さ。絶対最後まで張り合ってしまうさ。
「男女の仲は『好きと嫌い』の2つだけで纏められるもんじゃねーだろ」
「そうですね。僕は直接彼から聞いていませんので、本心は分かりませんけど」
幸せそうに笑う彼女を、守りたかったのかもしれません。その人にはその力があった。彼にしかなかった。
「クロス……」
組んだ両手を額に押し付けたコムイが、小さく呟いた。
そして、当然二人の愛は、一つの結末を生みます。それは神様の寵愛か、はたまたアクマの微笑みか。その女性は彼との子供を身籠りました。
悩んだ末に彼女は、子供を産みました。
「馬鹿な!そんな事実は…」
コムイが、ガタンと座っていた椅子を蹴倒して立ち上がった。そしてアレンを凝視する。
しかしアレンは表情一つ変えず、逆にコムイに微笑んで見せた。
「あの人は、家1年に一回戻るか戻らない人でした。僕の知ってる方は4年間音信不通だと聞きましたが」
「すまないアレン君。君に言っても仕方なかった」
大きく息を吐き出して、コムイが冷静さを取り戻すとアレンに謝り、椅子を起こして座り直した。そして続けてくれと、促した。
「…アレン?」
けれどアレンは、どこか遠くを見ているようで、すぐには続きを語らなかった。あまりに心ここにあらずなので、ラビがそっと声を掛けた。
そうすれば、夢から覚めたみたいにアレンは瞬きを繰り返して、ボーっとしてましたと笑った。
「無理に言いたくねーのなら、言わなくてもいいが」
「いいえ、ここまで来たら話さないといけないでしょう…ラビだって知りたいですよね」
気遣う神田に、アレンが断り、ラビはそれに応えて首を縦に振った。
「彼女は、家を離れ、産婆経験のある方の家で、男の子を出産しました」
戻らなければいけない彼女と、子供を育てる環境ではなかった彼は、その赤ん坊を一度抱き締めただけで、手放さなければいけませんでした。
赤ん坊は、彼女の眼の色と、彼の髪の色を持って生まれたので、彼女が育てることも、できなくはなかったのですが。
神様は、そんな彼女の些細な、願いさえかなえてはくれ無かったのです。
「いいえ、逆にその赤ん坊は神様に愛されたのかも知れません。その代わり、両親の愛情を得ることができなかった」
その子は、神の結晶と呼ばれる物をその身に宿して生まれてきてしまったからです。
「……っ」
3人が3人とも息を呑み、アレンを見つめた。
アレンは両眉をハの字に下げて、微笑んだ。泣きたいのに泣き方を知らない、そんな表情だった。
「その事を、生まれてきた赤ん坊を見て、知った父親たる彼は…」
いつの日か、自分の家族の元にも来るだろう未来を知り、その赤ん坊に自分の願いも託したのでした。
その直後に、人間と通じていたことを知られた彼は、殺されてしまいました。でも、彼女は数年間元の家に戻り、何事もなく暮らしていたのです。
「なんで、教団にばれたんさ?」
「分かりません」
アレンは首を横に振った。
ただ彼女は、どうしても子供に会いたかった。それで無茶をしたようです。それに疑って歩くのが仕事のような方もいらっしゃいますから。
「…それで、異端審問か、はんっ。奴らのやりそうなことだ」
唾棄するように言い捨てて、神田がギュッとアレンの左手を握った。その反対、アレンの右手を取ったラビは、そのまま持ち上げて口づけた。
「アレンが、生まれてきたことを感謝するさ」
「「 コムイ 」」
アレンの手を取ったままの二人が、コムイをヒタと見つめる。コムイも分かっているというように、真剣に3人を見つめ返した。
「何の証拠も無いよ、それにそれは、誰かの昔話であって、誰の昔話じゃない」
だから二人とも、その物騒なものは仕舞ってくれるかな。コムイは、各々イノセンスに手を掛けている、神田とラビにお願いした。まあ、いざとなったらアレンが止めてくれるだろうけど、精神的ダメージも減らしたい。
「でも、アレン君。あと一つだけ。知ってたらでいいんだけどね、教えて欲しいんだ」
「はい」
静かにコムイを見つめ返す、その瞳は確かに自分が好きだった彼女のもの。どうして今まで思い出せなかったのかとコムイは自嘲した。
「彼の『14番目』の願いって何かな?」
すっかり情報源を聞かれると思っていたアレンは、困惑して瞬きを繰り返した。
そして言うかどうかを迷って、浅い呼吸を繰り返した。
「ああ、言葉が悪かったね。その…彼女の恋人の願いは何かな?参考までに聴きたいだけなんだけど」
何処にも他言しないことを、暗に匂わせて、コムイが得意の笑顔をアレンに向けた。
「『ノア』からの解放」
そして、決別。
それだけ言うとアレンは立ち上がった。マリアの写真をコムイへと返すと、踵を返した。
コムイもそれを引き留めようとはしない。
アレンが神田とラビを連れて、室長室から出て行こうとする、瞬間に振り返った。
「誰かではない、『とある誰かの昔の話』です。あまり楽しい物語ではなかったですね」
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脱兎。情報源はその内、いろんなうちのSSから出てくると思います。再掲載する頃には、情報源とかの話も、盛り込めたらと思います。そのうち書き直したりするかも。
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