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「大佐…その……」
珍しく口ごもる彼に、焦りや苦痛の色は見出せない。急に入ってきた状態からは判断できないが、それほど切羽詰っている用件ではないらしい。また動作や口調から察して、酷い怪我を負っているようでもない。
そこでやっとロイは落ち着きを取り戻した。(もちろん表情には表れなかったが)
「何かな、鋼の?」
執務用の作り笑顔から、恋人に見せる優しい笑顔へと表情を緩めて、ロイがゆったりと聞き返した。しかし、この気のゆるみが曲者だった。
「好きなんだ」
「はっ?」
いきなりのエドワードの告白に、ロイは間抜けな返事を返してしまった。恋人としてはあるまじき行為だ。
しかしエドワードにはそこを気にする余裕も無いのか、あっさりとロイの受け答えを流してしまった。
「だからっ、大佐…いや。ロイのことが好きなんだなぁって」
なるべくロイを視界に収めないように顔を背けながら、エドワードは赤くなった頬を照れ隠しに擦った。それでもロイの様子が気になるのか、ちらちらとロイの方を盗み見ている。
どうせ『悪いものでも食べたかね』とか『何か頼みごとでも?』とか、言われるに違いないと思いながら。
しかし、ロイからの返事はなかなか返ってこなかった。その沈黙にエドワードはいたたまれない、いつだって耐え切れなくなるのは自分の方だ。
「だからっ…」
「エドワード」
思い切って、同じ言葉をもう一回。今度は真正面に向き合って言おうとしたエドワードは不意に抱きしめられた。執務室の机越しに。
エドワードは広い腕に打つつまれながら、やっぱりロイのことが好きなんだと再確認していた。
この胸の中にいると、これ以上ないぐらいに安心して、だけどそれと同じだけドキドキもして、なんだか無性にキスしたいかも。そう思って顔を上げれば、エドワードと同じ角度にロイの顔があって、どちらからということもなくキスを交し合った。
「時々急に不安になってね、君が私に同情したんじゃないかと」
「…そんな事、ないぜ。同情とかで男の恋人持とうなんて器用な事は出来ねぇよ」
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『アベラシオン』収録/さかき’sパート『恋 -レン-』より一部抜粋
藤白さんパートも含めてすごく甘い一冊に仕上がってます。
H描写がないのも珍しいかな?でも恥ずかしい二人は1.5倍増し(当社比)
なんだか二人(藤白さん)そろってエドの大告白大会になってます。
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