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(CMYK変換が出来なかった為、実際の色味とは多少違うかと思われます)
「ほいっ」
「……はい?」
予備動作も無く、急に投げ付けられたそれをロイは反射的に受け止った。
そして掌にすっぽり収まってしまったそれを握り締めて、それが鉱石のような物だと気がついた。
「石…?」
「そ。それ、あんたにやるよ」
「これは?」
掌を開いて見ればそれは、直径1.5センチほどの丸い宝石だった。しかも完璧な球体ではなく、不ぞろいな多角形の形は天然石だろうと思われた。
深い青色をした石の中に色とりどりの星が散っている様は、綺麗ではあるがそれを自分に渡す理由を、ロイは全く思いつかなかった。
「お、お守りみたいなもん!…だって!アルがっ……」
「ほう。…アルフォンス君に言われたから、わざわざ?」
「ちがっ…違わないけど、違う!」
買ってきてくれたのかい。と言えば、機嫌を損ねてしまったと勘違いをしたエドワードが慌てて否定してきた。ロイからしてみたら、誰に言われて買ったものであろうと、エドワードが自分のために持ってきてくれたのならそれで十分に嬉しいのだ。
しかしその事で慌て、うろたえるエドワードの姿がまたさらに可愛らしかったので、あえて何も訂正しなかった。そしてこの表情の十分の一でも言葉にしてくれたらと、ロイは少し欲を出した。
「鋼の?」
「う―――っ」
ロイが優しい視線でエドワードを見つめている事に気づくと更に、エドワードは顔を赤くして唸った。
もう一押しとロイが口を開こうとした時、殺気にも似た気配を感じて、慌てて机から乗り出していた身体を引いた。
それとほぼ同じにして、エドワードの右腕が机にドンと叩き付けられた。頑丈さには定評の在る執務机がミシリと鳴ったのは気のせいではない。
からかい過ぎたと、一瞬にしてロイの表情は青ざめた。引き際は心得ていた心算だったが、彼があまりにも可愛らしい事をするので、欲を出しすぎた。
こうなってしまえば三十六計、謝り倒すしかない。三十路の男の選択肢としてはどうかと思うのだが、なりふりかまってはいられない。
「すまなかった鋼の。君の怒った顔が…つい可愛くて、調子に乗ってしまった」
ここの最高司令官の一人のハズだが、エドワードに頭を下げる事に何の抵抗も無い。自分の腰の高さよりもエドワードから『恋人、取消し宣言』をされる方が数倍、恐ろしい。
しかし彼からの返事は返ってこない。ロイは恐る恐る下げた頭を持ち上げてエドワードの表情を伺い見た。
「…何言ってんの?」
******************************
本文抜粋。
といってもほとんど冒頭。
前編は相変わらずラヴラヴの二人がいっぱいです。
エドがロイに渡した石が引き起こす騒動です。しかし騒動のほとんどが後編に…(>_<)
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